最終更新:平成29年1月20日(金) 脱字の修正
(1)イントロ
私たちが中学・高校の頃、中間試験や期末テストが近づいてくると教師から試験範囲が発表され、その範囲が予想より狭いと、教室から歓声や拍手が湧きましたよね!
何と温情あふれる教師なんだと…。
でもこういう体験は、宅建受験者に「悪さ」をしてます。
何を勉強するにも、「量が少ないほど良い!」という変な常識を植え付けられてしまった「悪さ」です。
そのため、
「宅建のテキストも薄い方が良い」と誤解する受験者が激増してます。
「こんな薄いテキストだからこそ合格しやすい!」 みたいな予備校の宣伝も、この誤解に拍車をかけてます。
薄いテキストを強調するのは、単に製造原価を下げたいだけなのに…。
(2)宅建のテキストは厚い方が良い
(イ)「意味の無いもの」の勉強
記号の羅列など
「意味の無いもの」を勉強するなら、テキストは薄い(量が少ない)方がいいです。
例えば、
BNPRULDOEAKXVSTFQMZIVWJGF [25文字]
BNPRULDOEAKXVST [15文字]
を勉強するなら、下の[15文字]の方が上の[25文字]より覚えやすいのは、誰の目からも明らかなので、「意味の無いもの」の勉強に使うテキストは薄い方がいいです。
私たちが中高生の頃にした勉強は、ここまでは極端でないにしろ、半分くらいは「意味の無いもの」の丸暗記でしたね。
(ロ)「意味の有るもの」の勉強
宅建は法律の試験であり、法律は単なる記号の羅列ではなく、「意味の有るもの」です。
そして、
「意味の有るもの」を勉強するなら、テキストは厚い(量が多い)方がいいです。
例えば、
足の短い男が、ハサミを買った。 [句読点を入れて15文字]
足の短い男が、ズボンを詰めるために、ハサミを買った。 [句読点を入れて25文字]
を勉強するなら、下の[25文字]の方が上の[15文字]より覚えやすいのは、皆さまも認めるでしょうから、「意味の有るもの」の勉強に使うテキストは厚い方がいいのです。
この点は、アメリカの心理学者ジョン・ブランスフォードによっても科学的に証明されてます。
要は、宅建試験のような
「意味の有るもの」の勉強には、少しでも物語性を強くした方が覚えや
すいというワケです。
物語性が弱いと、「ハサミを買った」は覚えていたとしても、時間の経過とともに誰が買ったかは忘れやすいです。そこで、「ズボンを詰めるために」という文章を差し込んで覚えさせれば、主語の「足の短い男」が思い出しやすくなるというワケ…。
物語性を強くする良心的な宅建テキストは、だから、厚くなるのが必然になります。
※ 関連記事
宅建のテキストは厚い方が良い
(3)補足
(イ)「スピード」と「厚いテキスト」は矛盾しない
私は
前回の記事で、
◇ どんな試験も、成功のポイントは要領!
◇ 要領が悪いと、スピードに乗れません!
◇ スピードに乗れない人は、頭が悪い人!
と書きました。
そこで誤解されるといけないので補足しますが、スピード重視だからといって「宅建のテキストは薄い方が良い」と申し上げてるんじゃないですよ。
スピード重視だからこそ「宅建のテキストは厚い方が良い」と申し上げてるんです。
「スピード」と「薄いテキスト」は矛盾するけど、「スピード」と「厚いテキスト」は矛盾しません。
(ロ)「スピード」の一番の敵は「忘却」
「意味の有るもの(法律)」の勉強で何が怖いかと言えば、「忘却」です。
宅建の場合は、似たものを区別できていたのに、1か月後には区別できなくなってしまうという意味での忘却が一番怖いです。
だから「忘却に打ち勝つ」勉強法を、ぜひ身に付けなければなりません。
でないと、忘却はスピードの一番の敵になっちゃいます。
「忘却に打ち勝つ」には、いろいろな方法がありますが、今回の記事に関して書けば、
・ マル暗記を避け
・ エピソード記憶
を重視する事です。
エピソード記憶というのは、経験に基づく論理だった記憶で、われわれの脳に「物語」としてインプットされているものです。
「中学校の時、好きだったあの人に、ああいう風に振られた」なんていう失恋記憶が典型ですかね。「思い出」は、みんなエピソード記憶です。
宅建の勉強も、このエピソード記憶をうんと作るようにして下さい。
すでに、物語性の弱い「薄いテキスト」を買ってしまった方は、
5月の時点ではまだ間に合いますから、物語性を出来るだけ盛り込むように、ご自分でそのテキストを改造しないとダメ。
「急がば回れ」です!
この物語性は、ご自分の実体験である必要は全然ないです。
マンガからヒントを得てもいいし、気に入らない隣のオヤジを悪徳不動産屋に見たてるのも面白いです。
このブログでも、皆さまに宅建試験に関する物語性をインプットして頂けるような記事を、折に触れて書いて行こうと思います。
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丸暗記やゴロ合わせがダメな理由