今日は、それを徹底的に理解して頂いて、1点でも無駄にしないため、例題を使って説明します。
例題
(問題文)
市街化区域内の農地に住宅を建設する目的で所有権を取得する場合には、農地法第5条の都道府県知事又は農林水産大臣の許可を受ける必要がある。
例題に対する私の解説
(解説文)
正しい。本肢は農地を転用目的で権利移動する(農地に住宅を建設する目的で所有権を取得する)ので、5条許可を必要とする。そして、5条許可を受ける先は、原則は知事、同一の事業の目的に供するための4ヘクタールを超える農地の場合は農林水産大臣だ。
私の解説に対する御意見 - その1
市街化区域内の特例で、「あらかじめ農業委員会に届出をすれば」5条許可が不要になるので、迷物講師の解説は間違っているのではないか?
つまり、農地が市街化区域内に存在するこの問題では、そもそも5条許可が不要なのではないか?
私の解説に対する御意見 - その2
市街化区域内の特例で、「あらかじめ農業委員会に届出をすれば」5条許可が不要になるので、問題文を書き換えたらどうか?
例えば、農地が「市街化調整区域内」に存在するように書き換えれば、迷物講師の解説が納得できるのだが…。
上の2つの御意見は、2つともブーブー!
「あらかじめ農業委員会に届出をすれば」5条許可が不要になる、という市街化区域内の特例は、その名が示すように、あくまでも『特例』ですよ!
『特例』は『例外』と同じ意味。
そして『特例』や『例外』は、『原則』の反対語(対義語)です。
法律というのはですね、農地法に限らず、すべての法律で、
・ 『原則』を当てはめて解決するなら、『特例』や『例外』を持ち出しちゃダメ
っていう不文律(暗黙の了解)があるのです。
ここ極めて重要!
今日の例題は、農地法5条だけど、農地法5条の『原則』っていうのは…
全国どこでも、農地を転用目的で権利移動する(農地に住宅を建設する目的で所有権を取得する)ときは、5条許可を受けてね!です。
ここまで理解できたら、あとは簡単。
全国どこでも、農地を転用目的で権利移動するときは、5条許可を受けてね!なんだから…
…市街化区域内の農地に住宅を建設する目的で所有権を取得する場合には、農地法第5条の都道府県知事又は農林水産大臣の許可を受ける必要がある…
と書いてある今日の例題は、場所なんか考えないで、農地法5条の『原則』を当てはめるだけで解決しちゃいます。だって、「あらかじめ農業委員会に届出をした」なんて、どこにも書いてないんだから…。
今日の例題の主人公は、「お前は5条許可を受けろ!」と言われてオシマイ!
あとは、5条許可を受ける先は、原則知事、4ヘクタールを超える農地の場合は農水大臣という別知識をチョット当てはめて、一件落着です。
だから、私の(解説文)には、
…正しい。本肢は農地を転用目的で権利移動する(農地に住宅を建設する目的で所有権を取得する)ので、5条許可を必要とする。そして、5条許可を受ける先は、原則は知事、同一の事業の目的に供するための4ヘクタールを超える農地の場合は農林水産大臣だ…
って書いてあるのです。
今日のブログを書いた理由
今日とりあげた例題は、迷物講師の模試[一般無料模試編]の【問 22】肢4の問題なんですが、ここに関する御意見がここ3~4日の間に20件以上来ちゃいました。
この【問 22】肢4は平成16年度本試験【問 24】が出典で、それをチョットひねった問題です。
この私の「ひねり」が、原則と例外(特例)の区別を徹底的に理解して頂く材料としては最適だと前から判っていたので、今年も使ってみたら、大量の御意見!
まあ、上の御意見-その1、-その2に関するメールや電話がスタッフ doremi や私の所に来るわ来るわ! で手に負えなくなっちゃったのです。
それで急遽、今日のブログを書いて、今後頂くかもしれない、ここに関する御意見に対しては、ここを紹介することで、宅建倶楽部の回答としたいと考えた次第です。
原則と例外の区別が命
原則と例外(特例)の区別って、本当に命ですから!
森に生えている木に例えると、
・ 『原則』は幹(みき)
・ 『例外』は枝葉(えだは)
です。
そして農地法5条の
・ 幹『原則』 …… 全国どこでも、農地を転用目的で権利移動するときは、許可必要
・ 枝葉 『例外』 … 市街化区域内では、農業委員会に事前届出すれば、許可不要
というイメージです。
それにしても、他の予備校は何を教えているのだろう?
枝葉= 『例外』だけ大量に暗記させて、受験者の頭を混乱させちゃダメでしょ!
枝葉末節(しようまっせつ)は後回し! まずは原則(幹)をしっかり押えよう!
幸い、私の有料講座受講者からは、今日書いたような御意見は一件も頂いてません。今のところは…。