2020年2月15日土曜日

初出題 - 不動産価格指数(住宅)

不動産価格指数(住宅)


(1)

昭和63年度以降、不動産の統計から毎年1題出るのが通例になっていますが、直近の平成27年度は「不動産価格指数(住宅)」という名前の統計が初めて出題されました。
初出題のためか、現時点ではどこの予備校もロクな解説をしていないので、迷物講師が少し詳しく書いてみます。

(2)

不動産価格指数(住宅)とは、国土交通省が、登記異動情報・不動産の買主に対するアンケート調査票・現地調査という三段階のステップによって作成した情報(個人情報については秘匿化)について、不動産取引価格情報として毎月公表している資料です。
毎月の市場動向の変化を把握することを目的にしています。

リーマン・ショックの発生年である2008年4月以降、「2010年の平均を100とした指数」で、住宅地・戸建住宅・マンション(区分所有建物)などに分類して公表しています。


リーマン・ショックとは、2008年9月15日にアメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻したことに端を発して、世界的金融危機が発生した事象です。

(3)

不動産価格指数(住宅)をワシづかみすると、
・ 住宅地
・ 戸建住宅
の「2010年の平均を100とした指数」は、2008年以降2016年3月まで「横ばい」です。
それに対して、
・ マンション(区分所有建物)
の「2010年の平均を100とした指数」は、2008年以降2016年3月まで「上昇基調」です。
具体的には、2010年の平均を100とした指数で2016年3月のマンション指数は127.4でした。
マンションだけは、2011年3月の東日本大震災の時も腰折れしませんでした。

(4)

以上書いた知識があれば、直近平成27年度の「不動産価格指数(住宅)」の問題は、簡単過ぎてタマンナイですよ!
こんな問題でした。

【27年-問48-肢1】…平成28年向けの数字にアレンジしてます

国土交通省が毎月公表する不動産価格指数(住宅)のうち、全国のマンション指数は、リーマン・ショックが発生した年である2008年以降2016年3月まで一貫して下落基調となっている。

【答はバツ】

上で書いたように、住宅地と戸建住宅の指数は2008年以降2016年3月まで「横ばい」ですが、「マンション」のそれは2008年以降2016年3月まで「上昇基調」でした。
繰り返すと、2010年の平均を100とした指数で、2016年3月のマンション指数は127.4でした。
それなのに、この肢は「一貫して下落基調となっている」と書いてあるからバツなんですね。

(5)

以上を画像でわかり易く表現したのが、上のグラフです(国土交通省作成)。

・ 緑色の線が「マンション」の指数
・ 黄色の線が「住宅地」指数
・ 青色の線が「戸建住宅」指数
・ 赤色の線が「マンション・住宅地・戸建住宅」を「総合した」指数です。

ちなみに、国土交通省が作成した不動産価格指数(住宅)-下のグラフを含む-を直接ご覧になりたい方は、こちらに行けば見れます。


(6)最後に

不動産の統計については、【有料講座と同じ資料(教科書・四択過去問・一問一答ドリルの三種類とも)を、誰でも閲覧できるようにします】ので、統計を詳しく知りたいという動機で、どこかの講座・教材(宅建倶楽部が発行しているのを含みます)にお金を払うのは勿体ないです。