2016年12月22日木曜日

「フザケタ解説」撲滅運動 - 第二弾

宅建試験 - フザケタ解説撲滅運動
宅建試験 - フザケタ解説撲滅運動 - 第二弾

(1)

多くの皆さまがご存知のように、過去問解説集については「問題文丸写し・条文丸写しのフザケタ解説が横行している」、という現実があります。


(2)

今回は、効果が無いことを承知で、「フザケタ解説」撲滅運動を展開してみせます。

下のほうにリンクした、2015年1月18日の第一弾に続き、今回は第二弾。
宅建試験平成28年[問10]、相続の問題と解説です。


(3)平成28年[問10] 相続

甲建物を所有するAが死亡し、相続人がそれぞれAの子であるB及びCの2名である場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

(1)Bが甲建物を不法占拠するDに対し明渡しを求めたとしても、Bは単純承認をしたものとはみなされない。

1)正しい。

単純承認とは「普通の相続 (資産も借金も無制限に受け継ぐ相続)」をすることであり、単純承認になるには、世間一般にこの人は普通の相続をしたんだな!と思わせることが必要だ。本肢のBは、甲建物の不法占拠者(D)に明渡しを求めただけであり、そんなことはガードマンでも出来るわけだから、Bは、世間一般に「この人は普通の相続をしたんだな!」と思わせたとは言えない。したがって、Bは単純承認をしたものとはみなされない。

(2)Cが甲建物の賃借人Eに対し相続財産である未払賃料の支払いを求め、これを収受領得したときは、Cは単純承認をしたものとみなされる。

(2)正しい。

単純承認とは「普通の相続(資産も借金も無制限に受け継ぐ相続)」をすることであり、単純承認になるには、世間一般にこの人は普通の相続をしたんだな!と思わせることが必要だ。本肢のCは、未払賃料が相続財産であることを知った上で、賃借人(E)に未払賃料の支払いを求め収受領得した(ふところに入れた)のだから、Cは、世間一般に「この人は普通の相続をしたんだな!」と思わせたと言える。したがって、Cは単純承認をしたものとみなされる。

(3)Cが単純承認をしたときは、Bは限定承認をすることができない。

(3)正しい。

限定承認とは、「特殊の相続 (資産の範囲内で借金を受け継ぐ相続)」をすることであり、限定承認するには、相続人が全員でしなければならない(複数の相続人の1人だけでは限定承認できない)。なぜならば、一部の相続人の限定承認を認めると、相続財産の法律関係は極めて複雑になる結果、清算が不可能となり、被相続人の債権者が気の毒だからだ。したがって、Cが単純承認をしたときは、Bは限定承認できない。

(4)Bが自己のために相続の開始があったことを知らない場合であっても、相続の開始から3か月が経過したときは、Bは単純承認をしたものとみなされる。

(4)誤り。

相続人が、自己のために相続の開始があったこと、つまり被相続人が死んだことを「知った時」から3ヶ月以内に、限定承認または相続の放棄をしないと、相続人は単純承認したものとみなされる。何もしなかった(限定承認または相続の放棄をしなかった)としても、被相続人が死んだことを「知った時」から3ヶ月を超えれば、世間一般にこの人は普通の相続をしたんだな!と思わせるに十分だからだ。本肢では、そもそも相続人が自己のために相続の開始があったことを「知らない」から、3ヶ月はまだ起算されず、Bは単純承認したものとはみなされない。



このような 条文を一切使わない 解説を読んで、

「何か感じる」としたら、平成29年度宅建受験に有利に働くでしょう。
「何も感じない」としたら、時間を取らせてしまいゴメンナサイです。

なお、平成28年の四択過去問や一問一答(ドリル)は、今回解説した[問10]を含めて重要なものを順次「無料サイト(宅建の迷物図書館)」で公開するので、迷物講師の過去問解説を読む目的だけで有料講座をとるのは、やめといたほうがイイです。無料も有料も解説の質は同じです…。



「フザケタ解説」撲滅運動 - 第一弾