2015年1月18日日曜日

「フザケタ解説」 撲滅運動!

考えない記憶は不可能
考えない記憶は不可能


(1)


多くの皆さまがご存知のように、過去問解説集については「問題文丸写し・条文丸写しのフザケタ解説が横行している」、という現実があります。

(2)


きょうは、効果が無いことを承知で、フザケタ解説「撲滅運動!」を展開してみせます。

模範とは言えないまでも、一応チャントした解説の見本を示します。
宅建試験平成26年[問14]、不動産登記法の問題の解説です。

本問はナカナカの良問で、不動産登記法の基本(「表示に関する登記」と「権利に関する登記」の基本的な違い)について、一本筋を通して(赤い字の部分)作成されているからです。

(3)平成26年[問14]不動産登記法


不動産の登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)表示に関する登記を申請する場合には、申請人は、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。

(1)誤り。

「表示に関する登記(表題部にする登記)」も「権利に関する登記(権利部にする登記)」も、申請する場合には、申請人が、「申請情報」を登記所に提供する必要がある。申請情報とは、不動産を識別するために必要な情報(例:不動産の所在)・申請人の氏名・登記の目的などのことだ。
ところで、「権利に関する登記」については、登記の真実性を確保するために、申請情報と併せて「登記原因を証する情報(例:所有権移転登記をする場合の売買契約書の写し)」も提供しなければならない。
本肢は、「表示に関する登記」を申請する場合にも登記原因を証する情報を提供しろ!と言っているので、誤り。

(2)新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない。

(2)正しい。

まず「『新たに生じた土地』…の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない」という部分は、正しい。
次に、「…『表題登記がない土地』の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない」という部分も、正しい。
表題登記(表題部にする登記)は、登記の真実性を確保するためと言うより、固定資産税等の「税金取り立ての資料」としての意味合いが強い登記なので、新たに土地が生じたときや表題登記のない土地の所有権が取得されたときは、取得者が、原則として申請しなければならない(申請義務がある)。
そして申請すべき期間は、表題部に記録すべき事項に変動があってから1月以内(1ヵ月以内)と決められている。

(3)信託の登記の申請は、当該信託に係る権利の保存、設定、移転又は変更の登記の申請と同時にしなければならない。

(3)正しい。

「信託」とは、ある人(委託者)が他の人(受託者)に不動産の運用などを頼むことだ。
信託が成立すると、信託財産である不動産の名義は、委託者から受託者に移転する。でもそれは、信託の目的を達成させるために受託者の名義になっているに過ぎず、受託者が本来有している固有財産とは別のものだ。しかし、外部からはそれが信託財産か受託者が本来有している固有財産かを識別するのは困難だ。
そこで信託法14条では、信託財産については、信託の登記または登録をしなければ、その財産が信託財産に属することを第三者に対抗できないとしている。不動産登記法はこの信託法の定めを受けて、信託財産の識別を容易にし、登記の真実性を確保するために、「信託の登記の申請は、その信託に関係する権利の保存、設定、移転又は変更の登記の申請と同時にしろ」と命じているのだ(不動産登記法98条1項)。

(4)仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるときは、当該仮登記の登記権利者が単独で申請することができる。

(4)正しい。

登記の真実性を確保するために、権利に関する登記(仮登記も権利に関する登記!)は、登記権利者(登記することで利益を受ける者)と登記義務者(登記することで不利益を受ける者)が、共同で申請しなければならないのが原則だ。
でも本肢のように「仮登記の登記義務者の承諾があるとき」は、登記の真実性を確保する観点から心配ないので、その仮登記の登記権利者が単独で申請できる。