2013年11月20日水曜日

税金滞納者の行き着く先 [平成25年度問24肢4]

(1)イントロ


平成25年度問24肢4は、こんな問題でした。

固定資産税に係る徴収金について滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに、その督促に係る固定資産税の徴収金について完納しないときは、市町村の徴税吏員は、滞納者の財産を差し押さえなければならない。

この肢はマルで、問24の正解肢ですが、出来た人が非常に少なかったようですね。

(2)平成25年度問24肢4の一般的な解説


正しい。
固定資産税に係る徴収金について滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに、その督促に係る固定資産税の徴収金について完納しないときは、市町村の徴税吏員は、滞納者の財産を差し押さえなければならないことになっている(地方税法373条1項1号)。

皆さまは、こんな解説に満足しますか?
ほぼ全員が満足しないと思いますが…。

じゃ、こんな問題はマイナーな論点として、忘れ去ったほうが吉でしょうか?
私は、それでは勿体無いと考えます。

本問は、税金滞納者の行き着く先を、試験委員(出題者)がせっかく教えてくれたのだから、スルーするのは勿体無いと思うのです。

この御時世、我々は誰でも、いつでも、税金滞納者になる可能性があるのだから…。

(3)税金滞納者の行き着く先


イ 滞納(納期限までに納めない)


ロ 督促


お上(税務行政庁)は、納税義務者に督促(納期限が過ぎているので早く納めてね! という督促状を発信)しなければなりません。

そして、
お上が督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに滞納者がその税金を完納しないときお上は滞納者の財産を差し押さえなければなりません

平成25年度問24肢4は、ここが出題されたのです!

ハ 差押え(別名:滞納処分)


督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに、滞納者がその税金を完納しないとき、国や地方は財政破綻しちゃう恐れがあります(国や地方は税金で運営されている!)。

そこで、スピーディーに(裁判所の手を借りないで)、かつ、強制的に税金を回収する必要性が出て来ます。そのために、お上は、滞納者のいろいろな財産に手を出します。これが差押えです。

(4)差押えによる税金強制回収の基本的な流れ


差し押さえた滞納者の「財産の種類」によって、流れが違います。

イ 金銭


差し押さえたのが「金銭」の場合、その金銭はストレートに、税金に充当します。

ロ 債権


差し押さえたのが「債権」の場合、その債権はお上が取立てて、税金に充当します。

例えば、滞納者が銀行に50万円の普通預金をしていた場合、滞納者は、その普通預金の払い戻し「債権」を有していますが、お上が取立てて(下ろして)しまうので、滞納者は銀行からお金を下ろせなくなっちゃう、という恐ろしい事になります。

ハ 金銭や債権以外の財産


差し押さえたのが「金銭や債権以外の財産(典型:不動産)」の場合、その財産は公売(こうばい)によって換価(かんか)し、お上がそれで得た金銭を、税金に充当します。

公売というのは、入札または競り売りによって、滞納者の不動産などを金銭に換えてしまう行為です。

(5)税金滞納者の行き着く先は、国税と地方税で共通!


上の(3)で書いた、 イ 滞納 →  ロ 督促ハ 差押え の話は、 国税と地方税で共通しています。
また上の(4)で書いた、 差押えによる税金強制回収の基本的な流れ国税と地方税で共通です。

だから、
「お上(税務行政庁)が、督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに、滞納者がその税金について完納しないときは、お上は、滞納者の財産を差し押さえなければならない」という決まりも、共通です。

例えば、国税徴収法47条1項1号では、
「滞納者が督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは、徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない」なんて書いてあります。

また、地方税法73条の36、1項1号では、
「滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して10日を経過した日までにその督促に係る不動産取得税に係る地方団体の徴収金を完納しないときは、道府県の徴税吏員は、当該不動産取得税に係る地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならない」と書いてあります。


税金の滞納、督促、差押えの基本的な流れ




















(6)お目こぼし文化


平成25年度問24肢4は、出来た人が非常に少なかったようですが、その原因は、差し押えられた経験のある受験者があまりいなかった事にあると思われます。

国税にしろ地方税(固定資産税・不動産取得税・自動車税など)にしろ、督促状が発せられてから1~2年放っておいても、実際には差し押えないのが、わが国の「お目こぼし文化」ですからね。

私も、むかし消費税を1~2年滞納した事がありますが、財産を差押えられた経験はないです。

でも現在、国には1,000兆円を超える借金があり、地方財政も台所事情は良くないですね。

だからこれからは、わが国の「お目こぼし文化」にも制限がかかって、「督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに、…完納しないときは、…滞納者の財産を差し押さえなければならない」という決まりが、もっと厳格に適用されるかもしれません。

試験委員(出題者)は、そんなメッセージを平成25年度問24肢4に込めたのではないか、と私には思えるんですが…。

無味乾燥な税金も、このように「意味づけ」して勉強すれば面白くなるのですが、皆さまはどう考えますか?