2013年10月4日金曜日

このまま覚えるしかないの?

法令上の制限を丸暗記科目と考えている宅建受験者の皆さまが、無間地獄に落ちないために、今回の記事を書きます。
前回と同様、農地法の問題を材料にします。


(1)平成16年度問24肢4


(問題文)
民事調停法による農事調停により農地の所有権を取得する場合には、農地法第3条の許可を受ける必要はない。

(迷物講師の解説)
正しい。
農地の所有権を取得する行為は、農地の権利移動に当たる。そして、農地の権利移動には3条許可を必要とするのが原則だ。ただし、民事調停法による農事調停により取得する場合には、3条許可が不要だ。裁判所の目が通っているので、農家の耕作権をむやみに侵害するとは言えないからだ。

(2)無間地獄に落ちないために


今回の農地法3条では、上の赤い字で書いた部分が、無間地獄に落ちないためのキーワード(森に生えている木に例えると、 『根・幹(みき)』と『枝葉』)を全部含んでいます。
ここ極めて重要!

裁判所の目が通っているので、農家の耕作権をむやみに侵害するとは言えない
という言葉ですね。

言い方換えると、こんなキーワードさえ知らないで、問題数だけをいくらこなしても、本当の意味での合格の保証はないです。キリがない無間地獄に落ちる危険性大です。

さらに換言すると、何事も基本が大事とは、農地法3条で言えば、
裁判所の目が通っているので、農家の耕作権をむやみに侵害するとは言えない
という言葉に集約されることが多いのです。

(3)農地法3条の『根』と『幹』


難しいことはないので、ちゃんと読んでやって下さい。

すべての法律の『根』や『幹』というのは、その条文が作られた背景・理由です。
農地法3条なんて変な条文、なぜ国会が作った(立法した)の? という素朴な疑問ですね。

答は、農家の耕作権の保護です。
もっと噛み砕けば、耕作者の地位の安定。
さらに言えば、安定的な農業経営のため!

そういう「安定的な農業経営のため」に、農地等を耕作目的で権利移動(典型は売買や賃貸借)するには、農業委員会の許可を受けてね! っていうのが農地法3条なのです。

※ 農業委員会
… 農業関係の処理に当たる行政委員会の一つで、原則として市町村単位で置かれる公的機関

(4)農地法3条の『枝葉』


農地法3条の『根』と『幹』は、安定的な農業経営のため!でしたね。
ということは、「逆も真なり!という発想」が不可欠です。
ここも極めて重要!

つまり、安定的な農業経営のために3条許可があるのなら、安定的な農業経営に心配ないなら3条許可なんて不要じゃん! っていう逆転の発想です。

何の事はない。実に簡単過ぎてつまらない事なんですが…。
安定的な農業経営のために3条許可があるのなら、安定的な農業経営に心配ないなら3条許可なんて不要じゃん! っていう逆転の部分が枝葉なんです。 逆転の部分が例外』『特例と言っても同じです。

簡単でしょ?
簡単じゃない人は、逆転の部分(『枝葉』)だけを先に丸暗記しちゃうからです!

こういう逆転の発想が出来る人を、私はスジがいい! とか法律的センスがある! とよんでます。
でも、そんな大げさな事言う必要ないかもです。
小学生でも出来そうな当たり前の発想がスジがいい!という意味。意外とシンプルなんですよ!

(5)お上は悪いことをしない!


現実社会はともかく、法律の世界では、お上(公的な機関)は絶対に悪いことをしません

農地法3条で考えても、お上が「安定的な農業経営を邪魔してやろう」、なんていう行動をすることは絶対にないです。

本日の(問題文)に書いてある「民事調停法による農事調停」なんていう言葉なんか知らなくても、「調停」という単語を見ただけで、離婚調停なんかと同様に、何か裁判所が関与してくる制度だな!って想像つく人が大多数でしょう。

その通りなんです。調停にタッチするのは裁判所であり、裁判所は絶対に悪いことをしません。

だから、裁判所が「安定的な農業経営を邪魔してやろう」、なんていう行動(調停)をすることは絶対にないんですね。

そうなると、「安定的な農業経営に心配ないなら3条許可なんて不要じゃん!」という発想が誰でも出来るようになります。
結果、平成16年度問24肢4は「正しい」という私の解説も、スジがいい!と理解できるのです(笑)。

(6)復習


平成16年度問24肢4は
(問題文)
民事調停法による農事調停により農地の所有権を取得する場合には、農地法第3条の許可を受ける必要はない。

(迷物講師の解説)
正しい。
農地の所有権を取得する行為は、農地の権利移動に当たる。そして、農地の権利移動には3条許可を必要とするのが原則だ。ただし、民事調停法による農事調停により取得する場合には、3条許可が不要だ。裁判所の目が通っているので、農家の耕作権をむやみに侵害するとは言えないからだ。

です。

上の解説で、
裁判所の目が通っているので、農家の耕作権をむやみに侵害するとは言えない
という言葉に、農地法3条の 『根・幹』と『枝葉』の全部が入っていることまで分かって頂けたら、幸いです。

(7)蛇足


ここまでお分かり頂けたら、スジがいい! 宅建の勉強ができるでしょう。

そして、「私が使っている参考書には平成16年度問24肢4が全然書いてないので、迷物講師の解説を『このまま覚えるしかないの?』」、なんていう質問も全然頂かなくて済むような理想郷になる、と思ってるのですが…。

法令上の制限に属する、農地法・都市計画法・建築基準法・国土利用計画法・宅地造成等規制法・土地区画整理法は、全部、このようなスジがいい! 勉強をして下さいね!
どこかの予備校や講師が言うのと違い、法令上の制限は、丸暗記科目じゃないですよ!


すでにスジがいい!勉強をしているかたへ!
今日書いた話は、農地法第3条第1項10号に載っています。